源泉徴収票は、上の段の4つの欄「支払金額」「給与所得控除後の金額」「所得控除の額の合計額」「源泉徴収税額」を左から順に読むと、1年分の所得税がどう決まったかが分かります。 2つ目から3つ目を引いた額に税率を掛け、住宅ローン控除を引き、復興特別所得税2.1%を加えたものが4つ目です。中段以下の家族・保険・住宅ローンの欄は、3つ目と4つ目の数字の内訳です。令和8年分(2026年12月の年末調整の結果)は、基礎控除が104万円に、給与所得控除の最低が74万円に上がったため、去年の源泉徴収票と並べると同じ年収でも2つ目と3つ目の数字が変わります。以下、国税庁の手引にある欄の順番で読んでいきます。

最初に見る4つの欄

欄何が書いてあるか読むときの目安
支払金額令和8年中に支払が確定した給与・賞与の総額税や保険料を引く前の額
給与所得控除後の金額支払金額から給与所得控除を引いた額税法上の「給与所得」
所得控除の額の合計額基礎控除・社会保険料控除などの合計家族や保険の欄の合計
源泉徴収税額年末調整後の所得税と復興特別所得税1年分の確定額

支払金額

令和8年中に支払が確定した給与と賞与の合計です。転職して前の勤務先の給与を合わせて年末調整をした場合は、前職分も含まれます。源泉徴収票を作った日に未払いのものがあると、その額が内書き(金額の上に小さく書かれた数字)で示されます。

給与所得控除後の金額(調整控除後)

支払金額から給与所得控除を差し引いた金額です。国税庁の「令和8年分の年末調整等のための給与所得控除後の給与等の金額の表」で求めます。令和8・9年分は給与所得控除の最低保障額が74万円なので、支払金額が190万円以下なら、支払金額から74万円を引いた額がここに入ります。所得金額調整控除を受ける人は、それを引いた後の額です。

所得控除の額の合計額

社会保険料控除・生命保険料控除・地震保険料控除・障害者控除・ひとり親控除・勤労学生控除・配偶者控除・配偶者特別控除・扶養控除・特定親族特別控除・基礎控除などの合計です。医療費控除や寄附金控除(ふるさと納税)は年末調整では扱わないため、ここには入りません。これらは確定申告で受けます。

源泉徴収税額

年末調整をした後の、1年分の所得税と復興特別所得税の合計です。毎月の給与明細で引かれた所得税の合計とは一致しません。差額が年末調整の還付または追加の徴収です。

税額を自分で確かめる計算

4つの欄の関係は次のとおりです。

  1. 給与所得控除後の金額 − 所得控除の額の合計額 = 課税される所得金額(1,000円未満は切り捨て)
  2. 課税される所得金額 × 税率 − 控除額 = 算出所得税額
  3. 算出所得税額 − 住宅借入金等特別控除の額 = 年税額
  4. 年税額 × 102.1% ≒ 源泉徴収税額

税率は、課税される所得金額が195万円未満(1,000円から194万9,000円まで)なら5%、195万円から329万9,000円までは10%(控除額97,500円)です。仮に給与所得控除後の金額が300万円、所得控除の額の合計額が150万円なら、課税される所得金額は150万円で、所得税は7万5,000円、復興特別所得税を加えて7万6,575円前後になります。細かい端数の処理があるため、1円単位で合わなくても大きくずれていなければ問題ありません。大きく違うときは、中段の欄を見直します。

家族の欄を読む

中段の左側は、家族に関する欄です。

  • (源泉・特別)控除対象配偶者の有無等:控除対象配偶者がいれば「有」に印があり、老人控除対象配偶者に当たれば「老人」にも印が付きます。
  • 配偶者(特別)控除の額:配偶者控除または配偶者特別控除の額です。令和8年分は、配偶者の合計所得金額が62万円以下なら配偶者控除、62万円超133万円以下なら配偶者特別控除です。本人の合計所得金額が1,000万円を超えるとどちらも受けられないため0になります。
  • 控除対象扶養親族の数:「特定」(19歳以上23歳未満)、「老人」(70歳以上)、「その他」、「特親」(特定親族)に分けて人数が入ります。
  • 16歳未満扶養親族の数:平成23年1月2日以後に生まれた扶養親族の人数です。扶養控除はありませんが、人数は記載されます。
  • 特定親族特別控除の額:19歳以上23歳未満で、合計所得金額が62万円超123万円以下の家族がいる場合の控除額です。

下段の「控除対象扶養親族」の欄には、家族の氏名と区分が並びます。特定親族には「10」から「90」までの区分があり、「10」は控除額63万円、「90」は3万円に当たります。家族の数や区分が思っていたものと違えば、年末調整で出した扶養控除等申告書の書き方を確かめます。

保険と住宅ローンの欄を読む

  • 社会保険料等の金額:給与から引かれた健康保険・厚生年金・雇用保険の保険料と、年末調整で申告した国民年金保険料などの合計です。iDeCoなど小規模企業共済等掛金は内書きで示されます。
  • 生命保険料の控除額・地震保険料の控除額:控除された額です。下段の「生命保険料の金額の内訳」に、新旧の一般・介護医療・個人年金ごとの支払額が入ります。令和8年分から、23歳未満の扶養親族がいて生命保険料控除の特例を使った人は、摘要欄に「租税特別措置法第41条の15の5第1項適用」と書かれます。書き方は保険料控除申告書の生命保険料の欄の書き方で確かめられます。
  • 住宅借入金等特別控除の額:年末調整で差し引いた住宅ローン控除の額です。算出所得税額を超える分は書かれず、下段の「住宅借入金等特別控除可能額」と比べると、控除しきれなかった額がわかります。制度の中身は住宅ローン控除の記事にまとめています。

下のほうの欄と摘要

  • 基礎控除の額:令和8年分は、合計所得金額489万円以下なら104万円、489万円超655万円以下なら67万円などと段階的です。
  • 所得金額調整控除額:23歳未満の扶養親族がいる、本人や家族が特別障害者である、などの条件に当てはまる人が差し引かれた額です。
  • 中途就・退職:年の途中で就職・退職した場合に印と年月日が入ります。
  • 摘要:扶養親族が5人以上いるときの5人目以降の氏名、前職の給与を合算したときの内容などが書かれます。

令和8年分で気をつけること

今回の改正は令和8年12月1日の施行です。国税庁のQ&Aでは、最後の給与の支払が11月30日以前だった退職者は、その時点の年末調整や源泉徴収票が改正前の線で作られるため、改正後の控除を受けるには確定申告が必要だとしています。年の途中で退職した人の源泉徴収票は、年末調整がされていないことも多く、その場合は給与所得控除後の金額や所得控除の額の合計額などの欄が空欄のままです。

源泉徴収票の様式は、税制改正によっては変わっていません。ただし、国税庁のシステム更改で令和8年8月以後の法定調書の様式が変わったため、去年のものと並べると見た目が少し違うことがあります。

読み違えやすいところ

  • 「支払金額=手取り」:支払金額は税や社会保険料を引く前の額です。手取りは、支払金額から源泉徴収税額・社会保険料等の金額・住民税を引いた額に近くなります。
  • 「源泉徴収税額は住民税も含む」:含みません。住民税は、勤務先が市区町村に出す給与支払報告書をもとに、翌年度に別に計算されます。
  • 「年末調整をしたから確定申告はいらない」:医療費控除やふるさと納税(ワンストップ特例を使わない場合)を受けるときや、副業の所得があるときは確定申告が要ります。副業の所得が20万円以下のときの扱いは副業の20万円の線の記事で確かめてください。

出典

(いずれも2026年10月1日に確認)