医療費控除の申告は、領収書の束をそのまま税務署に出す仕組みではありません。「医療費控除の明細書」を作成して確定申告書に添付するのが現在のルールです。国税庁のリーフレットにもとづき、明細書の書き方と、医療費通知を使った記載の省略、申告の流れを手順で説明します。

対象になる人・いつまでに準備するか

その年(1月1日〜12月31日)に、本人または生計を一にする家族のために支払った医療費が、10万円(所得が低い人は総所得金額等の5%)を超えた人が対象です。対象になる費用の範囲は医療費控除の対象になるもの・ならないもので確認してください。還付申告にあたる場合は、確定申告の期間(原則2月16日〜3月15日)を待たずに、翌年1月1日から5年間いつでも申告できます。

必要なもの

  • 医療費控除の明細書(国税庁の確定申告書等作成コーナーで作成できます)
  • 健康保険組合等から交付された医療費通知(「医療費のお知らせ」など。無い場合は不要)
  • 医療費の領収書(提出は不要だが、自宅で5年間保存)
  • マイナンバーが分かるもの、本人確認書類(e-Taxで作成する場合)

手順

  1. 1年間の領収書を、医療を受けた人・病院や薬局ごとにまとめる。 国税庁のリーフレットの例では、同じ人が同じ病院にかかった分は合計して1行にまとめて記載します。
  2. 医療費通知を確認する。 健康保険組合等が発行する「医療費のお知らせ」には、①被保険者等の氏名、②療養を受けた年月、③療養を受けた者、④療養を受けた病院・診療所・薬局等の名称、⑤支払った医療費の額、⑥保険者等の名称の6項目が記載されています。この6項目が記載された医療費通知を添付すれば、その内容については明細書への記入を省略できます。
  3. 医療費控除の明細書を作成する。 「1 医療費通知に記載された事項」の欄に医療費通知の合計額を転記し、「2 医療費(上記1以外)の明細」の欄に、医療費通知でカバーされていない領収書の分だけを、医療を受けた人・支払先ごとにまとめて記入します。
  4. 控除額を計算する。 明細書の「3 控除額の計算」の欄にしたがい、支払った医療費の合計から保険金等で補てんされる金額を差し引き、10万円(または総所得金額等の5%)を超えた分を計算します。計算式は医療費控除の対象になるもの・ならないもので説明しています。
  5. 確定申告書に明細書を添付して提出する。 税務署への持参・郵送のほか、国税庁の確定申告書等作成コーナーからe-Taxで送る方法があります。マイナンバーカードを使ったe-Taxでの提出手順はe-Taxでの確定申告の手順で説明しています。

医療費集計フォームでまとめて入力する方法

領収書の件数が多い人は、国税庁の確定申告書等作成コーナーからダウンロードできる「医療費集計フォーム」(Excelファイル)を使うと、入力の手間を減らせます。Excel上で医療を受けた人・支払先・金額などを入力して保存し、確定申告書等作成コーナーの医療費控除の入力画面で「医療費集計フォームを利用する」を選んでファイルを読み込ませると、内容が自動で反映されます。医療費通知の内容と、医療費集計フォームに入力した分、領収書から個別に入力した分は、合わせて最大995件まで登録できます。読み込みでエラーが出た場合は、エラーの原因(使用できない文字が含まれているなど)を確認し、ファイルを修正してもう一度読み込みます。

マイナポータル連携で自動入力する方法

マイナポータルとe-Taxを連携させると、医療費通知情報を自動で取得し、確定申告書等作成コーナーの医療費控除の明細書に自動入力できます。あらかじめマイナポータルで連携の設定をしておく必要があります。家族の医療費も合算したい場合は、マイナポータルで代理人の設定をすると、家族分の通知情報も取得できます。自動入力の対象となる控除証明書等には、医療費通知情報のほか、社会保険料控除証明書や生命保険料控除証明書なども含まれます。

よくある誤解

  • 「領収書を出せば控除が受けられる」と思っている:平成29年分の確定申告から、領収書の提出では医療費控除を受けられなくなりました。明細書の添付が必要です。
  • 「医療費通知があれば何もしなくてよい」と思っている:医療費通知でカバーされるのは、通知に記載がある分だけです。通知の対象期間に含まれない月の医療費や、通知を発行しない保険者にかかった分は、自分で明細に記入する必要があります。
  • 「領収書は捨ててよい」と思っている:提出は不要でも、5年間の保存義務があります。税務署から確認を求められることがあるため、年ごとにまとめて保管してください。
  • 「家族全員分の領収書を1つにまとめて書けばよい」と思っている:明細書は「医療を受けた人」「病院・薬局などの支払先」ごとにまとめて記載する様式です。家族の人数や通院先が多い場合は、年末までに領収書を人ごと・支払先ごとに分けておくと、申告直前の作業が楽になります。

出典

(いずれも2026年10月1日に確認)