高額療養費制度の上限額(詳しくは高額療養費制度の仕組み)は、いったん窓口で支払った後に払い戻される仕組みが原則です。しかし「限度額適用認定証」を事前に用意して窓口で提示すれば、その場での支払いを最初から上限額までに抑えられます。マイナ保険証を使えば、この認定証自体が不要になる場合があります。入院や手術が決まったら、早めに手続きしてください。

誰が対象で、いつまでに用意するか

入院や手術で医療費が高額になることが見込まれる人が対象です。認定証は申請した日が属する月の月初から有効になるため、入院予定がある場合はできるだけ早く手続きしてください。月をまたいで申請が遅れると、その月の窓口負担が上限額までに抑えられない可能性があります。

マイナ保険証なら申請が不要になる条件

協会けんぽの案内によると、医療機関等がオンライン資格確認を導入していて、かつ加入している医療保険にマイナンバーの登録が済んでいれば、マイナ保険証を使い、オンライン資格確認の画面で限度額情報の提供に同意するだけで、認定証の申請をしなくても窓口の負担が上限額までに抑えられます。

次のいずれかに当てはまる場合は、従来どおり認定証の事前申請が必要です。

  • 受診する医療機関等がオンライン資格確認を導入していない
  • 加入している医療保険にマイナンバーの登録がまだ済んでいない
  • 住民税非課税世帯で、長期入院による減額認定など、別途申請書が必要な区分に該当する

必要なもの・申請先

加入している医療保険によって申請先と方法が異なります。

加入している保険申請先・方法
協会けんぽ「限度額適用認定申請書」を協会けんぽの都道府県支部へ提出。低所得者の区分に該当する場合は「限度額適用・標準負担額減額認定申請書」を使う
国民健康保険(市区町村)住んでいる市区町村の窓口、または電子申請で手続き。本人確認書類と保険証番号が分かるものが必要(名古屋市の案内では電子申請から郵送での受け取りまで約1〜2週間)
健康保険組合加入している組合の指定する様式・窓口で申請(勤務先の担当部署を通じて確認)

名古屋市の案内では、保険証利用登録済みのマイナンバーカードを使う人については、オンライン資格確認で対応するため、限度額証等の申請・交付自体ができないとされています(長期入院該当などを除く)。まずは受診する医療機関がオンライン資格確認に対応しているかを確認してください。

手順

  1. 入院・手術の予定が決まったら、加入している医療保険の窓口か、マイナ保険証が使えるかを確認する
  2. マイナ保険証が使えない場合は、上の表の方法で認定証の交付を申請する
  3. 交付された認定証を、受診する医療機関等の窓口に提示する(マイナ保険証の場合はオンライン資格確認の画面で同意する)
  4. 入院時の食費・差額ベッド代は高額療養費の対象外なので、別途自己負担になることを把握しておく

70歳以上は申請が不要な場合がある

協会けんぽの申請書記入の手引き(2026年6月版)によると、70歳以上75歳未満で、標準報酬月額が26万円以下(区分「一般」)または83万円以上(区分「現役並みIII」)の人は、「高齢受給者証」を医療機関の窓口に提示するだけで、自己負担が上限額までに抑えられ、限度額適用認定証の提示自体が不要とされています。一方、標準報酬月額が28万円〜79万円の「現役並みI・II」の区分に当たる人は、70歳以上でも限度額適用認定証の申請が必要です。

また、69歳以下で住民税非課税の人は、通常の限度額適用認定申請書ではなく、「健康保険限度額適用・標準負担額減額認定申請書」を提出します。認定証の有効期間は、申請月の初日(健康保険の加入月に申請した場合は資格取得日)から1年間です。

つまずきやすい場所

  • 申請が月をまたぐと間に合わない:認定証は申請月の初日から有効になるため、月末に申請すると当月分に間に合わないことがあります。入院が決まり次第、早めに申請してください。
  • 食費・差額ベッド代は対象外:高額療養費の対象は保険適用される診療の自己負担額だけです。入院時の食費・居住費や、個室などの差額ベッド代は上限額の計算に含まれません。
  • 間に合わなかった場合:認定証が間に合わなくても、いったん全額を支払い、後から高額療養費の支給申請をすれば、上限を超えた分は払い戻されます。立て替えの資金繰りに余裕がない場合は、加入している医療保険に早めに相談してください。
  • 認定証の有効期間が切れたまま使い続けている:認定証には有効期間(通常は申請月の初日から1年間)があります。長期入院や治療が続く場合は、有効期間が切れる前に更新の手続きが必要かどうかを、加入している医療保険に確認してください。
  • 転院・退院のたびに申請し直すと思い込んでいる:有効期間内であれば、同じ認定証を複数の医療機関での受診に使えます。ただし、加入している医療保険が変わった場合(転職など)は、新しい保険者への再申請が必要です。入院先を変える予定がある場合も、認定証を忘れずに次の医療機関へ持参してください。

出典

(いずれも2026年10月1日に確認)