電気料金のプランを比べるときは、請求額をそのまま比べるのではなく、同じ使用量(kWh)で月額を計算し直して比べるのが基本です。九州電力の説明では、電気料金は「基本料金+電力量料金±燃料費等調整額−口座振替割引額+再エネ賦課金」で計算されます。このうち再エネ賦課金は国が決める全国一律の単価(2026年度は1kWhあたり4円18銭。東北電力・中部電力ミライズ公表)なので、どの会社でも同じです。比べるのは、基本料金・電力量料金・燃料費調整額の3つです。
この記事では、使用量の調べ方から、比べる単位のそろえ方、燃料費調整の上限の有無の見方、切り替えの手続きまでを順番に整理します。
誰が対象か・いつやるか
- 電気代が上がったと感じているが、何を比べればよいか分からない人
- 引越しや家族構成の変化で、使用量が大きく変わった人
- 今の契約が「上限あり」か「上限なし」かを知らない人
時期の目安: 使用量は季節で変わるので、1年分(少なくとも夏と冬の月)の使用量がそろってから比べると判断を誤りにくくなります。
必要なもの
- 直近12カ月分の検針票(電気ご使用量のお知らせ)、または電力会社の会員サイトの使用量の履歴
- 今の契約の「契約種別」(例:従量電灯B)と「契約電流(アンペア)」または「契約容量」
- 比べたい会社の料金表(基本料金、1kWhあたりの電力量料金、燃料費調整の条件)
手順1. 使用量と今の契約を書き出す
検針票や会員サイトから、次の項目を月ごとに書き出します。
| 項目 | 検針票の表記の例 |
|---|---|
| 使用量 | ご使用量(kWh) |
| 契約 | 契約種別、契約電流(A) |
| 請求額の内訳 | 基本料金、電力量料金、燃料費調整額、再エネ賦課金 |
少なくとも「使用量が多い月」「少ない月」「平均的な月」の3つを拾っておくと、プランの向き不向きが見えます。
手順2. 料金を4つに分けて読む
九州電力の説明をもとに、電気料金の構成を整理すると次のとおりです。
| 構成 | 決まり方 | 会社・プランで違うか |
|---|---|---|
| 基本料金 | 契約(アンペアなど)に応じた月額 | 違う |
| 電力量料金 | 使用量×1kWhあたりの単価 | 違う |
| 燃料費調整額 | 使用量×燃料費調整単価(毎月変わる) | 基準価格・上限の有無が違う |
| 再エネ賦課金 | 使用量×国が決める単価 | 同じ(全国一律) |
再エネ賦課金
東北電力の説明では、再エネ賦課金は再エネ賦課金単価に使用量を掛けて計算し、単価は毎年、全国一律の単価を国が定めます。中部電力ミライズの発表によると、2026年度(2026年5月分から2027年4月分まで)の単価は1kWhあたり4円18銭で、2025年度(3円98銭)から上がりました。同社の家庭の平均モデル(使用量260kWh)では、1カ月あたり1,086円です。
燃料費調整額
東京ガスの説明では、燃料費調整制度は、原油・LNG・石炭の燃料価格の変動を月々の電気料金に反映させる制度です。3カ月間の貿易統計価格から平均燃料価格を出し、2カ月後の電気料金に反映します。平均燃料価格が基準燃料価格を上回ればプラス調整、下回ればマイナス調整になります。
ここで会社・プランによって違うのが「上限の有無」です。
| 会社・契約 | 平均燃料価格の上限 |
|---|---|
| 九州電力 従量電灯Bなど(特定小売供給約款) | あり(41,100円を上限価格とする) |
| 九州電力 電気供給条件・需給契約条件による契約 | なし |
| 東京ガスの電気 | なし(「燃料費調整の上限は設けておりません」) |
※出典:九州電力「燃料費調整制度」、東京ガス「燃料費調整制度とは?」(2026年9月24日確認)
燃料価格が高い時期には、上限のない契約は燃料費調整額が上がり続けます。上限のある契約は、上限を超えた分が転嫁されません。比べるときは、燃料費調整単価の直近の数字と、上限の有無を必ず並べてください。
国の支援による割引
九州電力の案内では、2026年8月分〜10月分(7月〜9月使用分)の燃料費調整単価から、国の「電気・ガス料金支援」による割引単価(低圧で8月・10月分は1kWhあたり3.50円、9月分は4.50円)が差し引かれ、申し込みは不要とされています。支援がある月の請求額は、支援のない月と単純に比べられないので注意してください。
手順3. 同じ使用量で月額を計算し直す
比べたいプランごとに、手順1で拾った使用量を当てはめて月額を出します。
月額 = 基本料金 + 電力量料金(単価×使用量。使用量の段階で単価が変わるプランは段階ごとに計算)± 燃料費調整額(燃料費調整単価×使用量)+ 再エネ賦課金(4.18円×使用量)
- 燃料費調整単価は、比べる会社それぞれの同じ月分の単価を使います(毎月変わるため)
- 再エネ賦課金はどの会社でも同じなので、差を見るだけなら省いてもかまいません
- 使用量が多い月・少ない月・平均的な月の3パターンで計算すると、「使用量が多い家庭だけ得になるプラン」かどうかが分かります
手順4. 料金以外の条件を確かめる
| 条件 | 確かめること |
|---|---|
| 契約期間・解約金 | 期間の縛りと、途中で解約したときの費用 |
| セット割 | ガスや通信とのセットで割引がある場合、単独で契約した場合の合計と比べる |
| 支払い方法 | 口座振替割引やカード払いの可否 |
| 燃料費調整 | 上限の有無、基準燃料価格 |
手順5. 切り替えの手続き
申し込みに必要な情報(検針票のどの項目が要るか)や、今の会社との解約の手続きが必要かどうかは、申し込む会社の案内で確かめてください。
工事について: 東京ガスのよくある質問では、切り替えに原則として工事は必要なく、電気メーターがスマートメーターでない場合は、原則として無料で一般送配電事業者がスマートメーターに取り換えると案内されています。ただし、メーターの設置状況により別途工事費がかかることがあります。
つまずきやすいところと問い合わせ先
| つまずく場所 | 確かめる先 |
|---|---|
| 検針票に契約種別が書いていない | 今の電力会社の会員サイト・問い合わせ窓口 |
| 燃料費調整単価の最新値が分からない | 各社の「燃料費調整単価」の公表ページ(毎月更新) |
| スマートメーターかどうか分からない | 地域の一般送配電事業者、または新しい会社 |
| 国の料金支援の対象月か分からない | 資源エネルギー庁の特設サイト、電気・ガス料金支援事務局(0120-013-305、平日9〜17時。九州電力の案内による) |
よくある誤解
- 「請求額が安い会社が安い」: 月によって使用量も燃料費調整単価も違います。同じ使用量・同じ月分の単価で比べてください
- 「再エネ賦課金は会社を替えれば下がる」: 国が定める全国一律の単価です
- 「燃料費調整額はどこも同じ」: 基準燃料価格や上限の有無は会社・契約で違います
- 「乗り換えると工事で停電する」: 東京ガスの案内では原則として工事は不要で、必要なのはスマートメーターへの取り換えがある場合に限られます
出典
- 九州電力「燃料費調整制度」 https://customer.kyuden.co.jp/ja/electricity/system/adjustment.html
- 東京ガス「燃料費調整制度とは?」 https://home.tokyo-gas.co.jp/gas_power/plan/power/adjustment.html
- 東北電力「再生可能エネルギー発電促進賦課金」 https://www.tohoku-epco.co.jp/dprivate/attempt/renew/renew_assenssed/
- 中部電力ミライズ「2026年度の再生可能エネルギー発電促進賦課金単価について」 https://miraiz.chuden.co.jp/info/press/1217521_1938.html
- 東京ガス「東京ガスの電気に切り替えるのに工事や費用は発生するのか知りたい。」 https://support.tokyo-gas.co.jp/faq/show/4072?category_id=897&site_domain=open
(いずれも2026年9月24日に確認)