住宅ローンの借り換えが得かどうかは、金利差だけでは判断できません。 借り換えには事務手数料・保証料・登記費用などの諸費用がかかるため、「金利差による利息の軽減額」が「諸費用の合計」を上回るかどうかで判断します。住宅ローン控除を受けている場合は、控除への影響も確認が必要です。
比べる条件を先に決める
- 金利差: 今の金利と、借り換え先の金利の差
- 残りの返済期間・残高: 残期間が短い、または残高が少ないほど、金利差による軽減額は小さくなる
- 諸費用: 事務手数料、保証料(借り換え先で新たにかかる場合)、登記費用(抵当権抹消・設定の登録免許税、司法書士報酬など)
- 住宅ローン控除への影響: 控除を受けている場合、借り換え後も控除を続けられるかどうか
損益の計算手順
手順1. 今のローンの残高・残期間を確認する
返済予定表や、金融機関のマイページで、現在の残高と残りの返済期間を確認します。
手順2. 金利差による利息の軽減額を試算する
今の金利で残りの期間を返済した場合の総利息と、借り換え先の金利で同じ残高・残期間を返済した場合の総利息を比べます(金利計算は借り換え先の金融機関がシミュレーションを提供している場合が多いので、それを利用すると手順が簡単になります)。
手順3. 諸費用の見積もりを取る
借り換え先の金融機関から、事務手数料・保証料の見積もりを取ります。加えて、今の金融機関の抵当権抹消登記と、借り換え先の抵当権設定登記にかかる登録免許税・司法書士報酬も諸費用に含めます。
手順4. 軽減額と諸費用を比べる
「手順2の軽減額」が「手順3の諸費用の合計」を上回れば、その差額が借り換えによる損益(プラス)です。上回らなければ、借り換えても損になります。
住宅ローン控除への影響
住宅ローン控除を受けている場合、借り換え後も控除を受け続けるには、国税庁の説明にもとづき次の要件を満たす必要があります。
- 新しい住宅ローンが、当初の住宅ローンの返済のためのものであることが明らかであること
- 新しい住宅ローンが、10年以上の償還期間であることなど、控除の対象となる要件に当てはまること
控除の対象になる年末残高の計算: 借り換え前の残高を(A)、借り換え後の新規借入額を(B)とすると、
- A≧B(借入額が増えない場合):借り換え後の年末残高(C)がそのまま対象額
- A<B(借入額が増えた場合):対象額は「C×A/B」で計算し、増えた分は控除の対象外
控除を受けられる年数は、借り換えによって延長されません。 最初に居住した年から数えた期間のままです。控除を受けている場合は、借り換えによる利息の軽減額だけでなく、控除額への影響もあわせて確認してください。
条件ごとの結論
- 残りの返済期間が長く、残高も大きい: 金利差による軽減額が大きくなりやすく、諸費用を上回る可能性が高くなります
- 残りの返済期間が短い、または残高が少ない: 軽減額が小さくなりやすいため、諸費用の見積もりを先に取り、損益を確認してから判断してください
- 住宅ローン控除を受けている: 控除額への影響(年末残高の計算方法、控除年数が延長されないこと)を、利息の軽減額とあわせて確認してください
選ばない場合の結論
諸費用を差し引いた損益がプラスにならない場合や、控除への影響を含めて考えても得にならない場合は、無理に借り換える必要はありません。今のローンを続けながら、他の見直し(繰上返済など)を検討する選択肢もあります。
よくある誤解
- 「金利差が0.5%あれば必ず得」: 残高・残期間・諸費用によって損益は変わります。金利差だけで判断しないでください
- 「借り換えれば住宅ローン控除の年数も延びる」: 国税庁の説明では、控除を受けられる年数は借り換えによって延長されません
- 「借り換え後の全額が控除の対象になる」: 借入額が増えた場合(オーバーローン)、増えた分は控除の対象外です
出典
- 国税庁「No.1233 住宅ローン等の借換えをしたとき」 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1233.htm
(2026年9月25日に確認)