節電というと「こまめに消す」が思い浮かびますが、家電の種類や行動によって効果の大きさはかなり違います。資源エネルギー庁が公表している試算では、エアコンの設定温度を冷房時に1℃上げると年間約940円、フィルターを月1〜2回清掃すると年間約990円の節約です(後述の条件・出典を参照)。一方、機器そのものを省エネ型に買い替えると、冷蔵庫は10年前の製品と比べて約15〜24%、エアコンは約13%、LED照明は白熱電球と比べて約86%の省エネになります(資源エネルギー庁「機器の買換で省エネ節約」)。
この記事では、日々の使い方で効く行動と、買い替えで効く行動を分けて、資源エネルギー庁が公表している試算にもとづいて金額の目安を並べます。
比べる条件を先に決める
- 行動の種類: 使い方の工夫(設定温度・清掃・使用時間)か、機器の買い替えか
- 前提条件: 資源エネルギー庁の試算は、特定の機種(エアコンは2.2kW)・特定の外気温・使用時間(1日9時間など)を前提にした計算です。自分の家の機種や使用時間が前提と違えば、金額はそのまま当てはまりません
- 単価: 以下の金額は資源エネルギー庁が試算時に用いた電力量料金の単価にもとづくもので、契約している電力会社の単価とは異なります。目安としてご覧ください
使い方の工夫で効く行動(資源エネルギー庁の試算)
資源エネルギー庁「無理のない省エネ節約 空調」に掲載されている、エアコンの省エネ行動と年間の効果です。
| 行動 | 前提条件 | 年間の省エネ量 | 年間の節約額の目安 |
|---|---|---|---|
| 冷房の設定温度を27℃→28℃に1℃上げる | 外気温31℃、2.2kWのエアコン、使用9時間/日 | 電気30.24kWh | 約940円 |
| 暖房の設定温度を21℃→20℃にする | 外気温6℃、2.2kWのエアコン、使用9時間/日 | 電気53.08kWh | 約1,650円 |
| 冷房を1日1時間短縮する(設定28℃) | 使用時間を1時間減らす | 電気18.78kWh | 約580円 |
| 暖房を1日1時間短縮する(設定20℃) | 使用時間を1時間減らす | 電気40.73kWh | 約1,260円 |
| フィルターを月1〜2回清掃する | 目詰まりがある場合との比較 | 電気31.95kWh | 約990円 |
※出典:資源エネルギー庁「無理のない省エネ節約 空調」(2026年9月25日確認)。数値は同庁が示す前提条件での試算であり、実際の効果は部屋の広さ・断熱性能・使用状況で変わります。
この表から分かること: 暖房の設定温度を1℃下げる行動と、暖房の使用時間を1時間減らす行動が、金額の目安としては大きめです。一方、冷房の設定温度を1℃上げる効果は、暖房より小さく試算されています。寒い時期の使い方のほうが、金額の差が出やすい計算です。
買い替えで効く行動(資源エネルギー庁の試算)
資源エネルギー庁「機器の買換で省エネ節約」に掲載されている、10年前の製品と今どきの製品を比べた省エネ率です。
| 機器 | 比較対象 | 省エネ率 |
|---|---|---|
| 冷蔵庫 | 10年前の冷蔵庫 | 約15〜24% |
| エアコン | 10年前の省エネタイプ | 約13% |
| 温水洗浄便座 | 10年前の省エネタイプ | 約9% |
| 照明器具(電球形LED) | 白熱電球 | 約86% |
※出典:資源エネルギー庁「機器の買換で省エネ節約」(2026年9月25日確認)
この省エネ率は「率」であって金額ではありません。金額の差を知るには、いま使っている機種の年間消費電力量(本体のシールや取扱説明書、省エネ性能カタログに記載)と、買い替え候補の年間消費電力量を比べる必要があります。 環境省の「しんきゅうさん」(省エネ製品買換ナビゲーション、対象は冷蔵庫・エアコン・温水洗浄便座・テレビ・照明器具LEDライトの5種類)に、現在の機種名と候補の機種名を入力すると、電気代の差とCO2排出量の差が自動で計算されます。
条件ごとの結論
- いま使っている冷蔵庫・エアコンが10年以上前のもの: 使い方の工夫より、買い替えの方が省エネ率が大きく出やすい領域です。買い替え前に「しんきゅうさん」で現在の機種と候補機種の年間消費電力量を比べ、電気代の差が本体価格の差に見合うか確認してください
- 家電はまだ新しく、日々の電気代を抑えたい: 資源エネルギー庁の試算では、暖房の設定温度と使用時間の調整が、冷房の調整より効果が大きめです。冬場の使い方から見直すと、金額に反映されやすくなります
- 外出が多く、こまめに消すかどうか迷っている: FAQのとおり、外出時間が短ければつけっぱなしのほうが電力を消費しない場合があります。目安の時間(日中35分・夜間18分)を超える外出では消す方が試算上は節約になります
選ばない場合の結論
まだ使える家電を、省エネのためだけに買い替える必要はありません。資源エネルギー庁の省エネ率は「今どきの製品」と「10年前の製品」を比べた数字で、5年前の製品などではこの差より小さくなります。まずは「しんきゅうさん」で自分の機種の年間消費電力量を確認し、買い替え候補との差額を出してから判断してください。
よくある誤解
- 「エアコンはこまめに消すほうが必ず得」: 外出時間が短ければ、つけっぱなしのほうが消費電力量が少ない場合があります(FAQ参照)
- 「省エネ率が高い機器ほど、すぐ元が取れる」: 省エネ率は消費電力量の差の割合で、金額の差は現在の使用状況(使用時間・容量)によって変わります。年間消費電力量の実数で比べる必要があります
- 「表の金額はどの家庭にも当てはまる」: 資源エネルギー庁の試算は特定の機種・使用時間を前提にした数字です。自分の家の使用状況に置き換えて目安として使ってください
電気料金プランそのものの比べ方は電気料金プランの見直し方、電気とガスのセット割の実額は電気とガスをまとめると安くなるのかにまとめています。
出典
- 資源エネルギー庁「無理のない省エネ節約 空調」 https://www.enecho.meti.go.jp/category/saving_and_new/saving/general/howto/airconditioning/index.html
- 資源エネルギー庁「機器の買換で省エネ節約」 https://www.enecho.meti.go.jp/category/saving_and_new/saving/general/choice/
- ダイキン工業「空気のお悩み調査隊がゆく mission5-1 夏のエアコンつけっぱなし検証」 https://www.daikin.co.jp/air/life/issue/mission05
- 環境省「省エネ製品買換ナビゲーション『しんきゅうさん』」 https://ondankataisaku.env.go.jp/shinkyusan/
(いずれも2026年9月25日に確認)