離職や収入の減少で家賃の支払いが厳しくなっている人には、「住居確保給付金」という制度があります。早めに相談すれば、住まいを失う前に家賃相当額の支援を受けながら、生活の立て直しや就職活動に取り組めます。収入や資産の基準、支給期間、相談窓口の探し方を整理しました。

制度の目的と対象者

住居確保給付金は、離職や廃業、またはやむを得ない休業等による収入減少によって住居を失った、または失うおそれがある人の生活を支えるための制度です。対象になるのは、次のような条件を満たす人です(神戸市の案内による例)。

  • 離職・廃業から原則2年以内であること(疾病や育児などやむを得ない事情で求職活動が困難だった場合は、その日数を加算できる場合があります)
  • 世帯の収入合計額が、自治体が定める収入基準額以下であること
  • 世帯の金融資産の合計額が、自治体が定める資産基準額以下であること
  • 就職に向けた誠実かつ熱心な求職活動を行うこと(月4回以上の相談窓口での面接、月2回以上のハローワークでの職業相談、原則週1回以上の求人への応募など)

収入基準額・資産基準額・家賃の支給上限額は、世帯の人数や住んでいる地域によって自治体ごとに異なります。神戸市の例では、収入基準額は単身世帯で月12.4万円、2人世帯で月17.8万円、資産基準額は「基準額の6倍(上限100万円)」で単身世帯は55.2万円以下、支給額の上限は単身世帯で月4.0万円、2人世帯で月4.8万円とされています。自分の自治体の基準額は、相談窓口で確認してください。

支給額の決まり方

厚生労働省の事務連絡にもとづく算定方法では、支給額は次のように決まります。

  • 世帯の収入額が収入基準額以下の場合:実際に住んでいる住宅の家賃額(上限は自治体が定める住宅扶助基準額)がそのまま支給される
  • 世帯の収入額が収入基準額を超える場合:家賃額から「世帯の収入額-収入基準額」を差し引いた額が支給される(結果がマイナスになる場合は支給されない)

例えば、収入基準額が月12.4万円の単身世帯で、世帯の収入が月14万円、家賃が月5万円(支給上限額の範囲内)の場合、支給額は「5万円-(14万円-12.4万円)=3万4千円」になります。収入が基準額に近いほど支給額は大きくなり、基準額を大きく超えると支給額は少なくなるか、対象外になります。

支給期間

原則として3か月間の支給ですが、求職活動の状況が良好で一定の条件を満たしている場合は、3か月間を限度に2回まで延長でき、最長9か月間まで受けられます(神戸市の案内による)。延長の可否や手続きの期限は自治体によって運用が異なるため、支給が始まったら早めに次の見通しを相談窓口に確認しておくと安心です。

支給期間中に求職活動の要件(月4回以上の相談窓口での面接など)を満たさなくなった場合や、就職が決まって収入基準額を超えた場合は、支給が打ち切られることがあります。逆に、支給期間が終わる前に正社員としての就職が決まった場合は、そこで申請どおり目的を達成したことになり、無理に延長の手続きをする必要はありません。

相談窓口の探し方

住居確保給付金の申請窓口は、住んでいる市区町村の「自立相談支援機関」です。名称は自治体によって異なり、「くらし支援窓口」「生活自立支援センター」「生活困窮者自立支援相談窓口」などと呼ばれることが多く、福祉事務所や社会福祉協議会に設置されています。神戸市では各区役所・支所内の「くらし支援窓口」が担当しています。

自分の自治体の窓口が分からない場合は、市区町村のホームページで「住居確保給付金」と検索するか、市区町村の福祉担当課・生活保護担当課に電話で確認してください。

申請に必要なもの

申請時には、本人確認書類、離職や収入減少を確認できる書類(離職票や給与明細など)、現在の住居の賃貸借契約書、預貯金残高が分かる通帳の写しなど、収入・資産を確認できる書類の提出を求められるのが一般的です。必要な書類は自治体によって多少異なるため、まずは電話や窓口で相談し、何を準備すればよいかを確認してから訪れると二度手間になりません。支給が決定すると、多くの場合は本人ではなく、家主や管理会社に家賃相当額が直接振り込まれます。

あおらず、早めに相談する

家賃の支払いが厳しいと感じたら、滞納が重なって住まいを失う前に、できるだけ早く自立相談支援機関に相談することが大切です。収入基準額を超えていても、他の生活支援制度を案内してもらえる場合があります。一人で抱え込まず、まずは窓口に状況を伝えてください。

離職や収入減少の直接の原因が、病気やけがによる休職や、失業給付の待期期間中であることも少なくありません。そうした場合は、傷病手当金や失業給付の手続き状況もあわせて自立相談支援機関に伝えてください。収入の見込みが立たない期間がいつまで続くのかを整理した上で相談すると、住居確保給付金が使えるかどうかの判断や、支給期間・延長の見通しを立てやすくなります。1つの制度だけで判断せず、自分の状況に当てはまりそうな支援策をまとめて窓口で確認することをお勧めします。複数の窓口にまたがる相談でも、自立相談支援機関が間に入って整理してくれることが多いので、まずは一度足を運んでみてください。電話での相談を受け付けている自治体も多いため、平日に窓口へ行く時間が取りにくい場合は、まず電話で状況を簡単に伝えるところから始めてもかまいません。一度相談した内容は記録として残るので、二度目以降のやり取りがスムーズになります。

出典

(2026年10月1日に確認)