事故や自然災害で建物・家財・自動車に被害が出たとき、保険金を請求できる権利には期限があります。保険法第95条は、保険給付を請求する権利は、行使できる時から3年間行使しないと時効によって消滅すると定めています。この記事では、証拠の残し方から、保険会社への連絡、罹災証明書の取得までの手順を整理します。
誰が対象か・いつまでか
- 事故や自然災害で、火災保険・地震保険・自動車保険などの被害にあった契約者
- 保険法上の請求権の時効: 行使できる時から3年間(保険法第95条)。ただし、契約している保険会社の約款で、事故発生の通知など別の期限が定められている場合があるため、早めの連絡が基本です
必要なもの
- 契約している保険の証券番号・契約内容が分かるもの
- 被害の状況が分かる写真・動画(可能な限り、修理・片付けの前に撮影)
- 自然災害の場合は、市町村が交付する罹災証明書(被災者支援策の申請などで必要になる場合がある)
- 自動車事故の場合は、警察への届出内容(事故証明書の取得に必要)
手順1. 状況の記録を残す
修理や片付けの前に、被害を受けた箇所を写真・動画で記録します。全体が分かる写真と、被害箇所が分かる近い距離の写真の両方を残しておくと、後の手続きで役立ちます。
手順2. 契約している保険会社に連絡する
契約している保険会社(または代理店)に、被害の状況を連絡します。事故・災害の状況、被害箇所、連絡先などを伝え、以降の手続き(必要書類、現地調査の要否など)の案内を受けます。
手順3. 自動車事故の場合は警察へ届け出る
自動車事故の場合、警察への届出(交通事故証明書の取得につながる手続き)が必要です。人身事故・物損事故いずれの場合も、届け出ずに示談を進めることはおすすめできません。
手順4. 災害の場合は罹災証明書を申請する
自然災害で住宅に被害が出た場合、市町村長は、被災者からの申請があったときは、遅滞なく被害の状況を調査し、罹災証明書を交付しなければならないと、災害対策基本法第90条の2に定められています。罹災証明書は、保険会社への提出書類として求められる場合や、被災者支援策(税の減免、各種給付など)の申請に必要になる場合があるため、被害を受けた市町村の窓口に申請してください。
手順5. 保険会社の案内にもとづき必要書類を提出する
保険会社から案内される必要書類(保険金請求書、罹災証明書、修理見積書など)をそろえて提出します。書類の内容は保険会社・契約内容によって異なるため、案内にしたがって進めてください。
つまずきやすいところと問い合わせ先
| つまずく場所 | 確かめる先 |
|---|---|
| どの保険が対象になるか分からない | 契約している保険会社・代理店 |
| 罹災証明書の申請方法が分からない | 被害を受けた市町村の窓口(防災・税務などの担当課) |
| 「保険金を使えば自己負担なく修理できる」と業者から勧誘された | 契約している保険会社に直接確認する。国民生活センターもこうした勧誘によるトラブルに注意を呼びかけている |
| 請求から時間が経ってしまった | 早めに契約している保険会社に連絡し、時効(保険法第95条、3年)にかかっていないか確認する |
よくある誤解
- 「壊れたものはすぐに片付けないといけない」: 片付けや修理の前に、被害の状況を写真・動画で記録しておくことをおすすめします
- 「保険金の請求はいつでもできる」: 保険法第95条により、行使できる時から3年で時効消滅します
- 「修理業者に任せれば保険金の請求も代行してもらえる」: 保険金の請求は契約者自身が保険会社に行うのが基本です。代行を持ちかける業者との契約トラブルについて、国民生活センターが注意を呼びかけています
出典
- e-Gov法令検索「保険法」第95条 https://laws.e-gov.go.jp/law/420AC0000000056
- e-Gov法令検索「災害対策基本法」第90条の2 https://laws.e-gov.go.jp/law/336AC0000000223
- 内閣府(防災担当)「罹災証明書」概要資料 https://www.bousai.go.jp/taisaku/hisaisyagyousei/pdf/risaisyoumeisyo_gaiyou.pdf
- 国民生活センター「『保険金で住宅修理ができる』と勧誘する事業者に注意!」 https://www.kokusen.go.jp/news/data/n-20210902_2.html
(いずれも2026年9月25日に確認)