「近所で工事をしているので、ついでに見てあげます」といった訪問営業をきっかけに、外壁や屋根の工事を急かされるケースがあります。その場で契約せず、相見積もりを取って内容を比べることが基本です。見積もりの見方と、訪問販売で契約してしまった場合のクーリング・オフの手続きを整理しました。

見積もりで確認すること

外壁・屋根の工事は、業者によって金額の差が大きく出やすい工事です。見積もりを受け取ったら、次の点を確認してください。

  • 「一式」とだけ書かれた項目が多くないか。 面積・数量が数字で示されておらず、「外壁塗装工事一式」のようにまとめて書かれている見積もりは、工事内容の妥当性を比べにくく、当日になって追加費用を請求されるリスクがあります。
  • 使用する塗料の製品名が明記されているか。 「高耐久塗料」のような抽象的な表現ではなく、メーカー名・製品名まで書かれているかを確認してください。
  • 下塗り・中塗り・上塗りの工程が書かれているか。 塗装は複数回に分けて塗り重ねるのが基本で、工程が省略されていないかを確認します。
  • 足場代が別立てになっているか。 足場の設置・解体は工事に必須の費用です。「足場代無料」とうたう見積もりは、他の項目に上乗せされている場合があるため、総額で比較してください。

相見積もりの取り方

同じ条件(施工範囲・使用する塗料のグレード・工程)を複数の業者に伝え、2〜3社から見積もりを取って比較するのが基本です。条件をそろえずに依頼すると、金額だけを見て安い業者を選んでしまい、実際には工程が省略されていた、ということが起こり得ます。見積もりを受け取ったら、金額の総額だけでなく、上で挙げた内訳の項目ごとに内容を比べてください。

訪問販売で契約してしまったときのクーリング・オフ

特定商取引法では、訪問販売で契約した場合、法律で定められた事項が記載された契約書面を受け取った日を1日目として、8日以内であれば無条件で契約を解除できる「クーリング・オフ」が定められています。解除の理由を問われることはなく、違約金や損害賠償を請求されることもありません。

解除の通知は、従来の書面に加えて、2022年6月1日からは電子メールやFax、事業者のウェブサイトに設けられた専用フォームなどの電磁的記録でも行えるようになりました。書面で通知する場合は、クーリング・オフ可能期間内に発信すれば、消印が期間内であれば相手に届くのが期間後になっても有効です(発信主義)。通知には、契約年月日・契約者名・購入した商品名・契約金額など、事業者が契約を特定できる情報と、通知を発した日付を記載してください。

工事がすでに一部着工されていても、クーリング・オフの期間内であれば解除でき、原状回復の費用を請求されることはありません。

特定商取引法では、クーリング・オフの期間を過ぎた後の保護もあります。事業者が、工事の必要性や内容について事実と違う説明をした(不実告知)、または消費者の判断に影響する重要な事項をわざと告げなかった(重要事項の不告知)ことで消費者が誤認して契約した場合、消費者はその契約の意思表示を取り消せる場合があります。また、一度「契約しない」と意思表示した相手に対して、事業者が勧誘を続けることも禁止されています(再勧誘の禁止)。

点検商法に注意する

「無料点検」をうたって訪問し、「このままでは危険」「今すぐ工事が必要」と不安をあおって契約を迫る手口は、外壁・屋根工事に限らず訪問販売全般でよく見られるパターンです。本当に急いで対応が必要な劣化かどうかは、その場で契約せず、別の業者にも見てもらって確認してください。点検の結果を聞いてすぐに契約を迫られたときほど、一度持ち帰って検討する姿勢が大切です。家族や知人に相談する時間を作るだけでも、冷静な判断につながります。本当に劣化が進んでいる場合でも、外壁や屋根の寿命は数年単位の猶予があることがほとんどで、その日のうちに契約しなければ手遅れになるケースはまれです。急かされていると感じたら、それ自体が立ち止まって考えるべきサインだと受け止めてください。工事は一度契約すると簡単にはやり直せないからこそ、契約前の確認に時間をかける価値があります。

契約前に業者の実在性を確認する

工事費用が500万円(税込)以上になる場合、その工事を請け負う事業者は建設業法にもとづく「建設業許可」が必要です。500万円未満の軽微な工事であれば許可は不要ですが、許可の有無や許可番号は、商号・所在地とあわせて確認しておくと、業者の実在性を判断する材料になります。訪問してきた担当者の名刺の会社名だけでなく、契約書に記載される正式な商号・所在地・連絡先が一致しているかも確認してください。

つまずきやすい場所

  • 「今日契約すれば割引」という言葉で即決してしまう。 訪問販売で契約しても8日間のクーリング・オフがあることを知っておけば、その場で焦って判断する必要はありません。
  • 相見積もりを取らずに1社だけで決めてしまう。 比較対象がないと、金額や工事内容の妥当性を判断できません。
  • 足場代を工事費に含めて考えていない。 足場の有無や面積によって費用が変わるため、見積もりの内訳で必ず確認してください。

迷ったときや、業者の対応に不安を感じたときは、契約前でも最寄りの消費生活センター(消費者ホットライン188)に相談できます。

出典

(2026年10月1日に確認)