生命保険の必要保障額は、「今後必要になる支出の総額」から「遺族年金・貯蓄・配偶者の収入などで賄える額」を差し引いた残りで考えます。この記事は、遺族年金の額を中心に、必要保障額を出す手順を整理するものです。特定の保険商品や保障額を推奨するものではありません。

制度の目的と対象者

  • 目的(この記事の計算の目的): 一家の働き手が亡くなった場合に、生命保険でいくら備えるべきかを考える材料を整理する
  • 対象: 子どもがいる、または扶養している家族がいる人

金額の決まり方(計算式)

必要保障額 = 今後の支出の総額 −(遺族年金+貯蓄+配偶者の収入の見込みなど)

「今後の支出の総額」には、残された家族の生活費、子どもの教育費、住居費(住宅ローンが団体信用生命保険でカバーされる場合は除く)などが含まれます。世帯によって内容が大きく異なるため、この記事では一律の金額は示しません。以下では、差し引く項目のうち「遺族年金」の額の決まり方を整理します。

遺族基礎年金

日本年金機構の令和8年度の資料では、遺族基礎年金は、死亡した方によって生計を維持されていた「子のある配偶者」または「子」が受け取れます。

受け取る人年金額
子のある配偶者年額847,300円+子の加算額
子(配偶者がいない場合)上記の合計額を子の人数で割った額

子の加算額は、1人目・2人目が各243,800円、3人目以降は各81,300円です(昭和31年4月2日以後生まれの方の額。昭和31年4月1日以前生まれの方の基礎額は844,900円)。

受給要件: 国民年金の被保険者である間に死亡したときなど。加えて、死亡日の前日において、保険料納付済期間と保険料免除期間をあわせた期間が、国民年金の加入期間の3分の2以上あることなどの納付要件があります(死亡日が令和18年3月末日までにある場合、直近1年間に保険料の未納期間がなければ満たすとされる特例もあります)。

遺族厚生年金

厚生年金保険の被保険者または被保険者であった方が亡くなった場合、死亡した方によって生計を維持されていた配偶者・子・父母・孫・祖父母のうち、最も優先順位の高い人が受け取れます。

年金額の目安: 亡くなった方の老齢厚生年金の報酬比例部分の4分の3です。報酬比例部分は、平成15年3月以前の加入期間と、平成15年4月以降の加入期間それぞれの平均標準報酬(月額・額)に、決められた乗率と加入月数を掛けて計算します(要件によって計算方法が異なる場合があります)。

加算: 夫が死亡したときに妻が40歳以上65歳未満で、生計を同じくする子がいない場合など、一定の要件を満たす妻には、40歳から65歳になるまでの間、「中高齢の寡婦加算額」(635,500円)が加算されます。

申請の窓口と期限

遺族年金の請求は、日本年金機構(年金事務所)、または共済組合に加入していた場合はその共済組合が窓口です。請求には、死亡した方の年金加入状況や、遺族の生計維持関係を確認する書類が必要になります。詳しい手続きは、日本年金機構の窓口で確認してください。

年度と根拠の資料名

日本年金機構「遺族年金ガイド 令和8年度版」にもとづく金額です。年金額は年度によって見直される場合があるため、実際に請求する際は、最新の金額を日本年金機構の資料で確認してください。

似た制度との違い

  • 遺族基礎年金と遺族厚生年金の違い: 遺族基礎年金は「子のある配偶者」または「子」が対象で、国民年金の加入者(自営業者を含むすべての人)に関係します。遺族厚生年金は厚生年金保険(主に会社員・公務員)の加入者に関係し、配偶者以外に父母・孫・祖父母も対象になり得ます。両方の要件を満たせば、あわせて受け取れます
  • 高額療養費制度・傷病手当金との違い: これらは医療費・休業中の収入を補う制度で、遺族年金は死亡後の収入を補う制度です。あわせて保険を見直す順番で公的保障の全体像を整理しています

よくある誤解

  • 「遺族年金があれば生命保険は不要」: 遺族年金の額と、今後必要になる支出の総額を比べて、差額があるかどうかで判断が変わります
  • 「遺族基礎年金は誰でももらえる」: 「子のある配偶者」または「子」が対象で、子どもがいない配偶者は遺族基礎年金を受け取れません(遺族厚生年金の対象になる場合があります)
  • 「必要保障額は家族構成が同じなら同じ」: 貯蓄額、配偶者の収入の見込み、住宅ローンの団体信用生命保険の有無などによって、必要保障額は世帯ごとに異なります

出典

(2026年9月25日に確認)