毎月カツカツになる原因の多くは、使いすぎよりも手取りに対して毎月決まって出ていく額(固定費)が大きいことにあります。電気をこまめに消す、特売の店を回るといった我慢の節約は、公的な試算で見ると年に数百円から数千円のものが大半です。一方、使っていないサブスクの解約やスマホの料金プランの見直しは、1回の手続きで下がった分が毎月続きます。まず手取りと固定費を書き出して、総務省の家計調査の平均と見比べ、サブスク → スマホ → 保険 → 住居・車の順に直すのが、手間に対して効果の大きい進め方です。この記事では、カツカツになる仕組み、支出の目安、節約の比較表、直す順番を順に整理します。
毎月カツカツになる仕組み
カツカツの状態は、たいてい次の3つが重なって起きています。
1. 固定費が手取りに対して大きい。 家賃、スマホ代、保険料、サブスク、車の維持費は、使っても使わなくても毎月同じ額が出ていきます。手取りから固定費を引いた残りで食費や日用品をまかなうため、固定費が大きいと、残りをどれだけ切り詰めても余裕が出ません。
2. 毎月の家計に入っていない支出がある。 年払いの保険料、自動車税、賃貸の更新料、家電の買い替え、冠婚葬祭などは毎月は出ていきません。月々の予算に入れていないと、出ていった月だけ赤字になり、「節約しているのに残らない」と感じる原因になります。
3. 平均の数字と自分の収入の形が違う。 家計調査の勤労者世帯の月平均の収入には、賞与を12か月でならした分が入っています。2025年の単身の勤労者世帯(34歳以下)では、月平均の実収入37万718円のうち7万7,963円が臨時収入・賞与でした。毎月の給与だけで暮らしている人が平均と比べると、自分のほうが苦しく見えるのはこのためです。
支出の目安:家計調査(2025年)の平均と比べる
総務省の家計調査は、世帯の1か月の支出を費目ごとに公表しています。自分の支出を同じ区分で並べると、どこが大きいかが分かります。
| 費目(月平均) | 単身・34歳以下 | 単身・35〜59歳 | 二人以上の世帯 |
|---|---|---|---|
| 消費支出(合計) | 177,542円 | 198,488円 | 314,001円 |
| 食料 | 41,992円 | 47,405円 | 94,895円 |
| うち外食 | 17,430円 | 11,072円 | 16,563円 |
| 住居 | 35,060円 | 28,041円 | 18,678円 |
| うち家賃地代 | 34,723円 | 25,072円 | 8,095円 |
| 光熱・水道 | 8,291円 | 13,299円 | 24,547円 |
| 交通・通信 | 20,640円 | 23,773円 | 45,730円 |
| うち通信 | 6,400円 | 7,131円 | 11,672円 |
| 教養娯楽 | 24,242円 | 23,453円 | 32,125円 |
| その他の消費支出 | 28,513円 | 43,114円 | 47,093円 |
出典:総務省統計局「家計調査(家計収支編)2025年平均」。単身世帯は詳細結果表 第2表(男女、年齢階級別)、二人以上の世帯は「2025年(令和7年)平均結果の概要」表Ⅰ-1-1。二人以上の世帯の費目には他の世帯への贈答分が含まれ、単身世帯の表では贈答分が「その他の消費支出」の交際費に入っているため、区切り方がわずかに違います(2026年9月27日に確認)。
この表を使うときは、次の点に注意してください。
- 平均は目標ではありません。 持ち家の世帯、家賃のかからない世帯も含めた平均です。単身・34歳以下の持家率は7.8%、35〜59歳は50.7%で、年齢が上がるほど住居費の平均は下がります
- 一人暮らしの家賃は平均より高く出やすい。 単身・34歳以下で家賃・地代を払っている世帯は77.6%です。払っている世帯だけで割り戻すと、月4万4,000円台になります(表の数字からの概算)
- 比べるのは割合です。 手取りのうち住居・通信・保険などの固定費が何割を占めているかを出し、平均の世帯より目立って大きい費目から見直します
やめたほうがいい節約と、効く節約の比較
節約の効き目は、年間の削減額 ÷ かかる手間(時間)で比べると差がはっきりします。下の表のうち、電気・ガスの項目は資源エネルギー庁「省エネポータルサイト(無理のない省エネ節約)」の試算額です。固定費と「店を回る」の行は、額を仮に置いた計算例です。
| 節約の項目 | 年間の削減額 | 手間の目安 | 1時間あたり | 判定 |
|---|---|---|---|---|
| 使っていないサブスクを1件解約(月1,000円の例) | 12,000円 | 1回30分 | 約24,000円 | 効く |
| スマホの料金プランを見直す(月3,000円下がる例) | 36,000円 | 1回3時間 | 約12,000円 | 効く |
| 冷蔵庫の設定を「強」から「中」へ | 約1,910円 | 1回5分 | 約22,900円 | 効く(食品の傷みに注意) |
| 電気ポットを長時間保温しない | 約3,330円 | 1日数秒 | ― | 効く |
| 間隔をあけずに入浴し、追い焚きを減らす | 約6,190円 | 段取りの工夫 | ― | 家族世帯で効く |
| エアコンのフィルター掃除(月1〜2回) | 約990円 | 年3時間 | 約330円 | 効きは小さい |
| 冷房の設定温度を1℃上げる | 約940円 | 我慢が続く | ― | 割に合わないことが多い |
| LED照明1灯を1日1時間早く消す | 約85円 | 毎日の意識 | ― | 割に合わない |
| 特売のために別の店を回る(1回200円安く・往復30分・週1回の例) | 10,400円 | 年26時間 | 400円 | 割に合わない |
電気・ガスの試算は、電気31円/kWh(2022年7月の新電力料金目安単価)など、同サイトが示す単価で計算されています。いまの契約の単価で計算し直すと額は変わります(2026年9月27日に確認)。
表から分かるのは、一度の操作や手続きで済むものは時間あたりの効果が大きく、毎日の我慢や移動が必要なものは小さいことです。家計調査では単身・34歳以下の電気代は月4,569円(年約5万5,000円)なので、照明を1灯早く消しても電気代全体の0.2%にも届きません。
割に合わないことが多い節約
- 照明や家電をこまめに消すことだけに頼る。 1回ごとの額が小さく、続けても年に数百円の単位です
- 特売を追って店を回る。 移動の時間と交通費を入れると、時間あたりの効果は数百円まで下がります
- 暑さ寒さを我慢する。 設定温度を1℃変えた効果は、冷房で年約940円、暖房で年約1,650円です。体調を崩すと、下がった額以上の出費や仕事への影響が出ることがあります
- 食費を極端に削る。 続かずに外食や総菜で取り戻すと、かえって支出が増えます。単身・34歳以下の食料費のうち外食は4割を占めているので、削るなら外食の回数から決めるほうが確実です
- ポイント還元のために予定外の物を買う。 還元された額より、買った額のほうが大きくなります
固定費から直す順番
効く節約は固定費に集まっています。手間の少ない順に進めると、途中で止まりにくくなります。進め方の段取りは「固定費の見直しを1か月に1〜2項目ずつ進める方法」で詳しく扱っています。
- 手取りと固定費を一覧にする。 給与明細の差引支給額と、口座・カードの明細から毎月出ていく契約を書き出します。年払いの支出(保険料、税金、更新料)は12で割って月額に直し、同じ一覧に入れます
- リボ払いやカードローンの残高があれば、先に確認する。 手数料(利息)が毎月かかっている場合、どの節約よりも先に残高の減らし方を決めます。手数料の計算方法は「リボ払いの手数料と残高を減らす順番」にまとめています
- サブスクと、使っていないカードの年会費を止める。 手間が少なく、止めた翌月から効果が出ます。年会費のかかるカードの扱いは「使っていないカードの年会費を止める方法」を参照してください
- スマホの料金プランを見直す。 直近3か月のデータ使用量を確認し、使う量に合ったプランかどうかを確かめます。容量の決め方は「データ容量の調べ方と選び方」で扱っています
- 保険を見直す。 勤め先の健康保険や公的年金で受けられる保障を確かめてから、民間の保険で重なっている部分がないかを見ます。契約の変更は、保険会社や代理店の窓口で条件を確認してから行ってください
- 住居と車は、更新や買い替えの時期に合わせて見直す。 引越しや車を手放す判断は、一度で下がる額が大きい反面、初期費用がかかります。賃貸の更新月、車検の時期など、もともと費用が出るタイミングに合わせて検討します
日々の買い物の見直しは、固定費の手続きが一段落してからで構いません。食費や日用品の無駄を減らす手順は「買い物の無駄を減らす手順と節約アイデアの一覧」で扱っています。ほかの記事は「家計と貯蓄」の一覧から探せます。
実行時の落とし穴
下がった分が、そのまま別の出費に消える。 固定費を下げても、差額を普通預金に置いたままにすると、いつの間にか使ってしまいます。下がった額と同じ額を、給与日に別の口座へ移す設定にしておくと残ります。
解約と新しい契約の時期がずれて、二重に払う。 スマホや保険の乗り換えでは、解約の条件(違約金、解約の締め日)を先に確かめます。
年払いの支出を忘れて、ある月に赤字になる。 手順1で月額に直した年払いの支出は、毎月その額を別に取り分けておきます。
我慢の節約から始めて疲れる。 効果の小さい我慢を先に始めると、固定費の見直しに手が回らないまま続かなくなります。順番は、手続きで終わるもの → 習慣を変えるもの、です。
固定費を下げても足りない。 収入そのものが生活費に届かない場合、節約だけで埋めるのは難しくなります。国は2015年4月から生活困窮者自立支援制度を設けており、市区町村の相談窓口で、家計の立て直しの相談(家計改善支援)や、仕事・住まいの相談を受けられます(厚生労働省「生活困窮者自立支援制度について」、2026年9月27日に確認)。借入の返済で苦しい場合も、早めに窓口へ相談してください。
あわせて読む
出典
- 総務省統計局「家計調査報告(家計収支編)2025年(令和7年)平均結果の概要」(2026年2月6日公表)
- 総務省統計局「家計調査 家計収支編 単身世帯 詳細結果表 2025年 第2表」(e-Stat)
- 資源エネルギー庁「省エネポータルサイト 無理のない省エネ節約」
- 厚生労働省「生活困窮者自立支援制度について」
(いずれも2026年9月27日に確認)