車を持ち続けるかどうかを判断するには、「何となく高い」ではなく、税金・保険・車検・駐車場・燃料・車両価値の下落(減価)を項目ごとに年額で数えることが出発点になります。この記事では、実際の税率表・料率表をもとにした計算方法と、カーシェアに置き換えた場合との比べ方を整理します。

この記事で計算すること

対象は、自家用の普通・小型乗用車を1台、個人で所有し続けるケースです。以下で示す金額は、「総排気量1.5リットル以下、車両重量1トン超1.5トン以下、令和元年10月1日以降に新車登録し、登録から13年未満」という一つの例(一般的なコンパクトカー・小型セダン相当)で計算した参考値であり、実際の金額は車種・年式・地域によって変わります。ご自身の車の金額は、記事中で示す一次情報のページからご自身で確認してください。

項目ごとの金額と根拠

1. 自動車税(種別割)

自動車税は、総排気量の区分ごとに都道府県が定める年額の税金です。千葉県が公表している令和7年度の税額早見表では、令和元年10月1日以降に登録した自家用乗用車の場合、総排気量1リットル超1.5リットル以下で年額30,500円です(グリーン化税制による軽課・重課の対象外の標準税率の場合)。税額の区分の考え方は都道府県共通ですが、初度登録の時期や排気量区分によって金額が変わるため、車検証に記載された総排気量と初度登録年月をもとに、お住まいの都道府県の税額表で確認してください。

2. 車検にかかる法定費用(自賠責保険料+自動車重量税+検査手数料)

車検(継続検査)には、整備業者に支払う点検・整備費用とは別に、法律で定められた次の3つの費用がかかります。

  • 自賠責保険料: 損害保険料率算出機構が定める基準料率により、自家用乗用自動車・24か月契約・離島以外の地域(沖縄県を除く)の場合、2026年10月31日までに始まる契約に適用される料率は17,650円です。同機構は2026年4月30日、2026年11月1日以降に始まる契約から平均5.2%(910円)引き上げ、18,560円にすると金融庁長官に届け出ています。
  • 自動車重量税: 国土交通省が示す2026年5月1日からの税額表によると、車両重量1トン超1.5トン以下・エコカー減税の対象外・新車登録から13年未満の自家用乗用車が、継続検査時に2年分としてまとめて納める金額は24,600円です。
  • 検査手数料(印紙代): 運輸支局に車を持ち込んで検査を受ける場合、国土交通省の案内によれば、普通自動車で自動車検査登録印紙400円と自動車審査証紙1,400円の合計1,800円です(車種や検査の受け方によって金額が異なります)。

この3つを合計すると、2年ごとに44,050円(17,650円+24,600円+1,800円)となり、1年あたりに換算するとおよそ22,025円です。「車検が安い」とうたう広告の多くは、この法定費用を含まない整備・技術料の部分だけを比較していることが多いため、法定費用は業者を変えても基本的に金額が変わらない点に注意してください。

3. 自動車税と法定費用を合わせた年間の目安

先ほどの例(総排気量1.5リットル以下・車両重量1〜1.5トン)で、自動車税(年30,500円)と車検の法定費用(年あたり約22,025円)だけを合計すると、年間およそ52,525円になります。これはあくまで税金と法律で定められた費用だけの金額であり、次に挙げる項目はここに含まれていません。

4. ここに含まれない主な費用

  • 任意保険料: 対人・対物の賠償額の設定や車両保険の有無、等級(無事故の実績)によって金額が大きく変わるため、一律の金額を示すことはできません。複数社の見積もりで確認してください。
  • 駐車場代: 自宅の駐車場の有無や地域によって、月0円(自宅敷地内に駐車できる場合)から数万円まで差が大きい費目です。お住まいの地域の相場をご自身で確認してください。
  • 燃料費: 「年間走行距離÷燃費(km/L)×ガソリン価格」で計算します。ガソリン価格は資源エネルギー庁の石油製品価格調査で毎週更新されており、変動する前提で計算する必要があります。
  • 車検時の整備費用: 部品交換や技術料など、法定費用以外の実費です。車の状態によって変わります。
  • 減価(車両価値の下落): 購入価格から将来の売却・下取り価格を差し引き、所有年数で割ることで、1年あたりの目安を出せます。中古車の買取相場は車種・年式・走行距離ごとに変わるため、査定サービスなどで確認します。

カーシェアに置き換えた場合との比べ方

自分で車を所有する代わりにカーシェアを使う場合との比較は、「年間の利用時間・距離」を仮定して、カーシェア事業者の公式料金で計算し、上記の所有コストと突き合わせることで目安が出せます。

例えば、タイムズカーの公式サイトに掲載されている料金では、時間料金は車種クラスによって15分ごとにベーシッククラス220円、ミドルクラス330円、プレミアムクラス440円です。また、2025年12月1日から、走行距離が20kmを超えた分については1kmあたり20円の距離料金が加算されます。

この料金をもとに、「月2回、1回あたり3時間・往復20km程度(距離料金なし)利用する」という条件で試算すると、ベーシッククラスの場合は1回あたり2,640円(880円×3時間)で、月2回×12か月分では年間63,360円になります。この金額を、先ほど計算した「税・車検の法定費用だけで年間約52,525円」に、任意保険・駐車場・燃料・整備・減価を加えた所有コストの総額と比べることで、利用頻度に応じてどちらが安く収まりやすいかの目安になります。ただし、この計算はあくまで一つの利用条件を仮定した試算であり、実際の判断は走行距離や利用頻度、家族での利用有無など、ご自身の条件に当てはめて行ってください。

公共交通機関がない地域の場合

以上は、公共交通機関やカーシェアの拠点が身近にあることを前提にした比較です。地方部など、電車やバスの本数が少なく、最寄りのカーシェア拠点も遠い地域では、通勤・通院・買い物などの移動手段として車を代替する現実的な選択肢がない場合があります。この記事の計算は、あくまで維持費を「見える化」するためのものであり、維持費が高いからといって、代替手段のない地域で車を手放すべきだという結論を示すものではありません。

よくある誤解

  • 「車検費用=業者に払う整備代」: 車検費用には、業者ごとに差が出る整備・技術料と、自賠責保険料・自動車重量税・検査手数料という、業者を変えても金額が変わらない法定費用の、性質が異なる2種類が含まれています。
  • 「維持費が高ければ、すぐ手放すべき」: 維持費の計算は判断材料の一つであり、通勤・通院・子どもの送迎など、車に代わる移動手段がない場合は、金額だけで判断できません。
  • 「自動車税は全国どこでも同じ金額」: 都道府県税であるため、地方税法の範囲内で都道府県ごとに条例で定められています。排気量区分の考え方はほぼ共通ですが、実際の税額表は必ずお住まいの都道府県のものを確認してください。

出典

(いずれも2026年9月26日に確認)