ふるさと納税は、応援したい自治体に寄附をすると、寄附額から2,000円を引いた額が、一定の上限の範囲で所得税と住民税から差し引かれる制度です(総務省「ふるさと納税の概要」)。手続きは「寄附する」「受領証明書を受け取る」「ワンストップ特例か確定申告で申告する」「翌年に控除を確かめる」の4段階で、会社員で寄附先が5自治体以内なら、確定申告をせずに済ませることもできます。

この記事では、初めての人が迷いやすい順番どおりに、各段階でやることと期限を整理します。控除の金額や上限の計算そのものは、別の記事で詳しく扱います。

誰が対象か・いつまでか

  • 対象になる人: 所得税や住民税を納めている人です。総務省のよくある質問では、寄附金控除を受けるには納税者本人が本人名義で寄附する必要があるとされています。家族の誰かが代わりに寄附しても、寄附した人の控除にしかなりません
  • 寄附の期限: 税の計算は1月〜12月の年単位です(総務省「よくある質問」Q4)。その年の控除に入れたい寄附は、12月31日までに入金まで終える必要があります
  • 申告の期限: 確定申告なら寄附した翌年の3月15日まで、ワンストップ特例なら寄附した翌年の1月10日まで(必着)に、各自治体へ申請書を届けます

仕組みを先に押さえる(なぜ負担が2,000円になるのか)

総務省「税金の控除について」によると、控除は次の3つに分かれます。

控除の種類計算式対象になる寄附額の上限
所得税からの控除(寄附額−2,000円)×所得税の税率総所得金額等の40%
住民税からの控除(基本分)(寄附額−2,000円)×10%総所得金額等の30%
住民税からの控除(特例分)(寄附額−2,000円)×(100%−10%−所得税の税率)住民税所得割額の2割まで

※出典:総務省「ふるさと納税のしくみ|税金の控除について」(2026年9月24日確認)。所得税の税率には、令和19年中の寄附までは復興特別所得税の税率が加わります。

3つを足すと「寄附額−2,000円」になるよう設計されているため、上限の範囲内であれば負担は2,000円で済みます。特例分が住民税所得割額の2割を超えると、超えた分は控除されず、負担が2,000円を上回ります。 これが「上限額」と呼ばれるものの正体です。

なお、2,000円は寄附1回ごとではなく、1年間の寄附の合計に対して1回だけかかります(総務省「よくある質問」Q3)。

必要なもの

  • 寄附の申し込みに使うメールアドレスと決済手段(自治体やポータルサイトによって使える決済が異なります)
  • マイナンバー(個人番号)が分かる書類と本人確認書類(ワンストップ特例の申請書に添付します)
  • 確定申告をする場合は、源泉徴収票と、寄附した自治体が発行する受領証明書

手順1. 上限の目安を確かめる

寄附を始める前に、自分がいくらまでなら負担2,000円で済むかの目安をつかみます。総務省は、具体的な上限の計算は住まいの市区町村の住民税の担当部署に問い合わせるよう案内しています(「よくある質問」Q5)。

目安を出すには、前年の住民税の決定通知書にある「所得割額」を使うのが確実です。計算の手順と、医療費控除や住宅ローン控除がある場合に上限が下がる理由は、別の記事でまとめる予定です。

迷ったら少なめに寄附します。 上限を超えた分は税が減らないため、そのまま自己負担になります。

手順2. 寄附先を選んで申し込む

総務省の説明では、生まれ故郷に限らず、どの自治体にも寄附できます。寄附できる自治体の数にも制限はありません(「よくある質問」Q2・Q3)。

申し込み方は自治体ごとに異なり、自治体のホームページから申し込める場合と、民間のポータルサイトを通じて申し込む場合があります。

申し込むときに確かめること:

  1. 寄附者の氏名が、税を納めている本人と一致しているか(家族のカードで払う場合も、名義は控除を受ける本人にします)
  2. 住所が、住民票の住所と一致しているか(受領証明書やワンストップ特例の申請書に使われます)
  3. ワンストップ特例の申請書の送付を希望するか(希望欄がある場合)

2025年10月から、寄附に対するポイントの付与は禁止されています

総務省は、寄附に伴ってポイント等を付与する事業者を通じた募集を自治体に行わせないよう告示を改正し、2025年10月1日以後に始まる指定対象期間から適用しました(令和6年6月28日付け総税市第67号)。ポータルサイトが寄附に対して独自のポイントを付けることは、現在は認められていません。

ただし同じ通知で、「通常の商取引に係る決済に伴って付与されるものに相当するもの」は禁止の対象から除かれています。クレジットカードで決済したときにカード会社が通常どおり付けるポイントなどがこれに当たります。ポイントの扱いが変わった後の寄附先の選び方は、別の記事で整理します。

手順3. 受領証明書を保管する

寄附をすると、自治体から寄附を証明する書類(受領証明書)が届きます。総務省は、確定申告に必要な書類なので大切に保管するよう案内しています(「ふるさと納税の流れ」)。届く時期は自治体ごとに異なります(「よくある質問」Q10)。

ワンストップ特例を使う予定でも、後から確定申告が必要になる場合があるため、受領証明書は捨てずに保管してください。

手順4. ワンストップ特例か確定申告かを決める

控除を受けるには申告が必要です。方法は2つあり、自分がどちらに当てはまるかは次の表で判断できます。

条件使う方法期限控除のされ方
確定申告が不要な給与所得者等で、寄附先が5自治体以内ワンストップ特例(寄附先の各自治体に申請書を出す)寄附した翌年の1月10日必着全額が翌年度の住民税から減額
寄附先が6自治体以上確定申告寄附した翌年の3月15日まで所得税の還付+翌年度の住民税の減額
医療費控除を受けるなど、ほかの理由で確定申告をする確定申告同上同上
個人事業主など、もともと確定申告が必要確定申告同上同上

※出典:総務省「ふるさと納税の流れ」「税金の控除について」、地方税法附則第7条の取扱い(総務省資料)。申請書の1月10日必着の期限は、各自治体の案内(奥州市・千代田区など)で確認しました。

確定申告をする場合は、ワンストップ特例の申請をしていても、その申請はすべてなかったものとして扱われます(総務省「ふるさと納税ワンストップ特例の取扱いについて」)。確定申告書に、その年のすべての寄附を記載してください。

ワンストップ特例を使う場合: 寄附先の各自治体に「寄附金税額控除に係る申告特例申請書」を、マイナンバーが分かる書類の写しなどを添えて提出します。同じ自治体に複数回寄附したときは、寄附ごとに申請が必要ですが、自治体の数としては1と数えます。一部の自治体では、マイナンバーカードを使ったオンライン申請もできます(総務省「ふるさと納税の流れ」)。

確定申告をする場合: 国税庁の「確定申告書等作成コーナー」で、受領証明書の金額を寄附金控除の欄に入力します。e-Taxで送信するか、印刷して税務署に郵送・持参します(総務省「税金の控除について」)。

手順5. 翌年に控除を確かめる

控除は次の時期に反映されます。

  • 確定申告をした場合: 寄附した年の所得税から控除(還付)され、翌年度の住民税が減額されます
  • ワンストップ特例の場合: 所得税からの控除はなく、その分も含めた全額が翌年度の住民税の減額になります。総務省の説明では、寄附した翌年の6月以降に支払う住民税が減額されます

控除された額は、翌年度の住民税の通知書で確かめられます。給与から住民税が天引きされている人は、勤務先を通じて渡される特別徴収税額の決定通知書が該当します(中央区の案内)。確認する欄と、控除されていなかったときの対処は別の記事で扱います。

つまずきやすいところと問い合わせ先

つまずく場所対処問い合わせ先
上限がいくらか分からない住民税決定通知書の所得割額から目安を出す住まいの市区町村の住民税の担当課
受領証明書が届かない・なくした届く時期や再発行の可否を確かめる寄附した自治体
ワンストップ特例の申請書が期限に間に合わない確定申告で控除を受ける税務署
申請後に引越した・氏名が変わった翌年1月10日までに変更届出書を出す寄附した自治体

変更届出書の期限は、総務省の制度改正の案内(2015年4月1日)に示されています。

よくある誤解

  • 「返礼品がもらえるので得をする制度」: 税が減るのは「寄附額−2,000円」の範囲までで、上限を超えると減りません。返礼品について総務省は、一時所得に当たり、一時所得は年間50万円を超える場合に超えた額が課税対象になると説明しています(「よくある質問」Q12)
  • 「家族の誰が寄附しても家計の節税になる」: 控除を受けられるのは、寄附した本人の税だけです
  • 「ワンストップ特例の希望欄にチェックすれば手続きは終わる」: 総務省は、払込票の希望欄にチェックしただけでは申請は完了せず、送られてくる申請書を提出する必要があると注意しています(「よくある質問」Q13)
  • 「ワンストップ特例を申請したので、医療費控除で確定申告しても大丈夫」: 確定申告をすると特例は無効になります。確定申告書にふるさと納税の寄附も必ず書いてください

出典

(いずれも2026年9月24日に確認)